元航空支援集団司令官空将 永岩俊道 「トップガン/マーヴェリック」リポート
皆さん、来る2022年5月27日金曜日、トム・クルーズの超娯楽大作「トップガン/マーヴェリック」が、日本・米国を含む全世界で同時公開されることとなりました。コロナ禍でやむなく2度も公開延期されましたが、満を持しての今年の5月、今回こそは大丈夫でしょう!
当方が、トム・クルーズの「トップガン」初作を観たのは、今から30有余年前、宮崎県の航空自衛隊新田原基地において、F15イーグルの教官をしていた頃のことです。当時、岩国基地に飛来してきていた米海軍のF14トムキャットとは、日米共同訓練において、「異機種対戦闘機戦闘訓練」(DACT)を日常的に実施していましたから、F14を駆る「トップガン」トム・クルーズのお手並み拝見という気持ちで観たのを思い出します。
(トップガン マーヴェリック ©2021 Paramount Pictures Corporation. All rights reserved)
https://theriver.jp/topgun-maverick-us-trailer/
初代「トップガン」は、プロの戦闘機乗りから見て、やや荒唐無稽な所がなかったわけではありませんでしたが、ほかの航空娯楽映画とは比べ物にならないほどの、空中戦の迫力、臨場感、友情、苦悩等に溢れ、息もつかせぬストリー展開とリアルな映像に、プロの戦闘機乗り達も、嬉々として興奮しつつ、何回も繰り返し観たものです。“Danger Zone”や“Take My Breath Away”等のBGMもよかったですねえ。
お陰様で、米海軍や空軍のみならず、自衛隊のパイロット募集事情が好転するという副次効果も発生し、トム・クルーズには感謝の言葉しかありませんでした。
さて、いよいよ、今回の「トップガン/マーヴェリック」ですが、当方、実は、字幕翻訳家の戸田奈津子様とのご縁があり、今回の日本公開に際し、マーヴェリックらの使用している航空専門用語等に関し、翻訳・監修のお手伝いをさせて頂きました。
マーヴェリックら、米海軍のパイロットらが使用している航空専門用語は、極めて特異な業界専門用語ですから、馴染みのない方々にはなんとも理解しがたいところが多々あると思います。あまりに直訳しすぎると、意味不明なものになったり、臨場感を失ったりしてしまいます。また、戸田様に厳しくご指摘されたのですが、字幕の尺の関係で、日本語訳を長くすることはできません。ということで、諸々、苦労はしましたが、今回、航空専門用語の普及の気持ちも含め、原語を極力多用しつつ、肝心なところは、正確かつ具体的な字幕翻訳にしたつもりです。内容の詳細については、未だ、公開前ですから、ご紹介できませんが、観客の皆様が、実際に戦闘機のコックピットに座し、そして、操縦桿を握っているかのような臨場感と興奮を味わえること間違いなしです。久々の超娯楽大作、ぜひ、音響設備の整った映画館にてご鑑賞ください。乞うご期待!
さて、今回、この場をお借りして、3自衛隊を代表して「航空自衛隊の飛行教育体系」をご紹介したいと思います。
今やマルチドメインの作戦環境ではありますが、航空機による諸々の航空作戦は、当分の間、緒戦を含め、陸海戦力を含む作戦全般の帰趨を決する重要な存在であることは間違いありません。
パイロットへの道は、とても険しく、決して生易しいものではありませんが、国の役割に任ずるという誇りも含め、非常に挑戦しがいのある職業です。
因みに、スナップショットは、新田原基地の米空軍交換幹部と空自女性F15戦闘機パイロットです。いまや、自衛隊にとって女性パイロットは、実力のある欠かせない戦力となっています。実に頼もしい限りです。自衛隊における職の選択に男女の差はありません。
元航空支援集団司令官空将 永岩俊道 プロフィール
元航空自衛隊航空支援集団
司令官空将
永岩俊道
ながいわとしみち
出身地:鹿児島県
防大15期
スタンフォード大学軍備管理軍縮センター客員研究員。小松基地飛行群司令、千歳基地司令、空幕監察官、空幕防衛部長、西部航空方面隊司令官、航空支援集団司令官後退官、ハーバード大学アジアセンター上席客員研究員、国際安全保障学会理事、平和・安全保障研究所研究理事、全国防衛協会連合会常任理事、安全保障懇話会理事長等を歴任し永岩アソシエイツ代表、シスコシステムズ合同会社シニアアドバイザー、一般社団法人DSC理事
【自衛隊応援クラブ第32号】この美しい大空を守る ―君はトム・クルーズを超えられるか!― トップガン トム
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