「嘘も百回言えば…」
モスクワ近郊の劇場でISと関係があると思われる武装勢力が襲撃して130人以上の市民が命を落としたという報道があった。
これに対して、プーチン大統領はウクライナが関与しているという思わせぶりな発言を繰り返し、最近はプーチンの側近と言われている人たちもその意見を拡散している。
筆者は1990年代から2000年初頭に起きたチェチェン紛争を思い出す。当時、チェチェンはロシアからの独立を要求してロシアと戦争している最中であった。その戦争で劣勢であったチェチェンは、武装勢力をもってモスクワの劇場で観客を人質にして、チェチェンからのロシア軍の撤退を要求した。その時プーチンはチェチェン武装勢力の要求を拒否して劇場内に毒ガスを散布して人質もろとも襲撃した武装勢力を抹殺したのである。この結果、断固たる決意をもって武装勢力を抹殺したプーチンの大統領としての評価は確固たるものになった。
謂わば、プーチンの政治手法の原点ともいえる出来事であった。
今回の武装勢力の劇場襲撃はそれを想起させるものである。盛んにプーチンは今回の襲撃にウクライナの関与をほのめかしている。一方のゼレンスキー大統領は躍起になってそれを否定している。
プーチンにとってみれば、この襲撃にウクライナが関与しているということとして国民が認識すれば、ウクライナに対するロシアの侵略が正当化されると思っていることだろう。更に、今まであまりウクライナ侵略に肯定的でなかった国民もこのようなテロ行為をするウクライナであれば、侵略して懲罰を与えることは正当化されると考えるであろう。
これは、プーチン政権の自作自演ではないかというジャーナリストがいるのも一概に否定できないのではないか。
プーチン以下の政権側は今回の事件にウクライナ側が関与しているということをこれからも言い続けるであろう。
嘘も百回言えば本当らしく聴こえるようになる。まして、ロシアのマスコミはプーチン政権に反対のことなど言えない状態になっているのは、今回の選挙でプーチンが反対候補を封じ込め、ナワリヌイ氏を抹殺して圧倒的な得票率を得たことでも証明済みである。
ウクライナ戦争の行き先はウクライナと欧米西側勢力にとってますます困難な状況が続くのであろう。
DSC理事長 奥村 快也
千思万考1「嘘も百回言えば…」 ロシア プーチン
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