防衛省が主体となって実施する将来の極超音速誘導弾などの研究開発とは。
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2022年7月24日(日)に、 「極超音速飛行に向けた、流体・燃焼の基盤的研究」の一環として、観測ロケッ トS-520-RD1を内之浦宇宙空間観測所から打ち上げた。ロケットは正常に飛翔し、内之浦南東海上に落下したことを報告した。
防衛省によると、そもそも今回の実験は、防衛省の安全保障技術研究推進制度により、宇宙航空研究開発機構(JAXA)に委託して行っている研究事業の一環であり、本研究事業は、防衛省の安全保障技術研究推進制度において、「極超音速飛行に向けた、流体・燃焼の基盤的研究」としてJAXAから提案・応募があり、防衛省として平成29年度に採択、進められているものである。
スクラムジェットエンジンについて、地上での風洞試験の結果と実飛行での差異を解析の上、地上試験のデータを補正し実飛行時のデータを予測する解析ツール(数値モデル)を構築・評価することを目標としている。今回も、本研究事業の一環として実飛行のデータを取得するものだという。
今回の試験により、我が国のスクラムジェットエンジン技術、極超音速ミサイル技術が着実に高まっていること、安全保障技術研究推進制度を通じた防衛省による基礎研究への投資の成果が表れていることを示すものとなった。今回の試験によって必要なデータが得られ、ひいては、本研究事業の成果が、防衛省が主体となって実施する将来の極超音速誘導弾などの研究開発に活用できることが期待できるのだ。
日本を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、将来にわたって日本の防衛を全うするためには、極超音速誘導弾の研究開発も通じ、我が国の防衛力を抜本的に強化していくことが急務となっている。防衛省として、将来の脅威もしっかりと見据え、必要な能力の獲得に向けた研究開発を着実に、そして速やかに推進する足掛かりとしている。
防衛装備庁によれば、従来の誘導弾に比べて遥かに短い目標到達時間と高い残存性を同時に実現して、相手方の脅威圏外から対処するスタンド・オフ能力を飛躍的に向上させた極超音速誘導弾は、戦闘様相を一変するゲーム・チェンジャーとなり得る。極超音速誘導弾を実現するための重要技術の一つであるエンジンについて、従来のエンジン技術では実現できなかった高高度極超音速(マッハ5以上)の巡航を可能とする「スクラムジェットエンジンの研究」を実施しているということなのだ。
この研究では、装備品としての実現に留意し、従来までの研究の主流であった水素燃料に比べ、機体規模の小型化、入手性・貯蔵・取扱の容易さに大幅に優れる炭化水素燃料(ジェット燃料)を採用するとともに、超音速から極超音速までの幅広い速度域での作動を実現する、ラムモードとスクラムモードの2つのモードによるデュアルモード・スクラムジェットエンジンの実現を目指すものとなっている。
(画像はJAXA公式ページより)
詳細はコチラ
防衛省:https://www.mod.go.jp/atla/pinup/pinup040524.pdf
JAXA:https://www.jaxa.jp/press/2022/07/20220724-1_j.html
防衛装備庁:https://www.mod.go.jp/atla/kousouken.html
その他の記事一覧はコチラ:https://dsc.or.jp/News/allLists/type_news
会報誌についてはコチラ:https://dsc.or.jp/News/lists/newsletter
DSC取扱い商品の紹介はコチラ:https://dsc.or.jp/ad_sennin.htm
極超音速ミサイルのスクラムジェットエンジン燃焼試験。 スクラムジェットエンジン 極超音速ミサイル
一般社団法人DSC
DSCとは、自衛隊の役割・活動をより知っていただくために活動している一般社団法人です。
会員を随時募集しています。
入会していただくと、様々な会員サービスがあります。
①会報誌「自衛隊応援クラブ」の配布。
②オフィシャルピンバッジの配布。
③自衛隊各部隊や米軍基地、防衛産業工場を見学等の各種行事・イベントの参加企画。
④自衛隊OB・各連携組織とのコラボによるセミナー。
ご入会に関する詳しい内容はこちら→https://dsc.or.jp/nyukai.html