防衛力の抜本的強化7つの重視分野【自衛隊応援クラブ第33号】

会報誌

一般社団法人DSC

一般社団法人DSC

ロシア侵略戦争、北朝鮮ミサイル実験の常態化、尖閣諸島周辺海域での中国艦船による領海侵入。我が国は軍事力で国際秩序変更を試みる国々に隣接しています。防衛力の強化は緊要な問題です。
以下は防衛省 『令和5年度予算の概要』から抜粋加工した図解・解説文です。

防衛力の抜本的強化の7つの重視分野

我が国への侵攻そのものを抑止するために、遠距離から侵攻戦力を阻止・排除(①②)

①スタンド・オフ防衛能力
隊員の安全を可能な限り確保する観点から、相手の脅威圏外からできる限り遠方において阻止する能力を高め、抑止力を強化することが重要。スタンド・オフ・ミサイルの早期装備化及び運用能力の向上が必要。

②統合防空ミサイル防衛能力
各種ミサイルや航空機等の多様化・複雑化する経空脅威に適切に対処することが重要。探知・追尾能力の向上や、ネットワーク化による効率的対処の実現、迎撃能力の強化が必要。まず、ミサイル防衛システムを用いて、公海及び我が国の領域の上空で、我が国に向けて飛来するミサイルを迎撃する。その上で、弾道ミサイル等の攻撃を防ぐためにやむを得ない必要最小限度の自衛の措置として、相手の領域において、有効な反撃を加える能力(反撃能力)として、スタンド・オフ防衛能力等を活用。万が一、抑止が破れ、我が国への侵攻が生起した場合には、①と②の能力に加え、有人アセット、さらに無人アセットを駆使するとともに、水中・海上・空中といった領域を横断して優越を獲得し、非対称的な優勢を確保(③④⑤)

③無人アセット防衛能力
無人アセットは革新的なゲームチェンジャーであるとともに、人的損耗を局限しつつ、空中・水上・海中等で非対称的に優勢を獲得可能。長期連続運用などの各種制約を克服して、隙のない警戒監視態勢などを構築することが重要。
航空機、艦艇、車両の各分野における無人アセットの早期取得・運用開始が必要。

④領域横断作戦能力
陸海空領域に加え、宇宙(衛星の活用による情報収集機能の強化等)、サイバー(セ キュリティ対策の強化、サイバー要員の育成等)、電磁波(電子戦能力、電磁波管理機能 の強化等)などの組合せにより非対称的に優勢を確保していくため、抜本的な能力強化が必要。

⑤指揮統制・情報関連機能
我が国周辺における軍事動向等を常時継続的に情報収集するとともに、ウクライナ侵略でも見られたような認知領域を含む情報戦等にも対応できるよう情報機能を抜本的に強化し、隙のない情報収集態勢を構築する必要。迅速・確実な指揮統制を行うためには、抗たん性のあるネットワークにより、リアルタイムに情報共有を行う能力が必要。こうした分野におけるAIの導入・拡大を推進。迅速かつ粘り強く活動し続けて、相手方の侵攻意図を断念 (⑥⑦)

⑥機動展開能力・国民保護
我が国の地理的特性を踏まえると、部隊を迅速に機動展開する能力を構築するとともに、 それを可能にする基盤の整備が必要。輸送船舶、輸送機、輸送ヘリコプター等の各種輸送アセットの取得等による輸送力の強 化が必要。

⑦持続性・強靱性
自衛隊の運用を円滑にするため、弾薬・燃料の確保、可動数の向上(部品不足の解消等)、施設の強靱化(施設の抗たん性の向上等)、運用基盤の強化(製造態勢の強化、火薬庫の確保等)等を図ることが重要。

図:今後のスタンド・オフ防衛能力の運用(イメージ)

領域横断作戦のイメージ

自衛隊応援クラブ第33号のその他のページ》
・スペシャルインタビュー
 陸上自衛隊 第40代 第1師団長 陸将 兒玉恭幸
 任務を完遂せよ!
 https://dsc.or.jp/News/view/dsc/368

・リポート
 レーザー兵器の事例と将来
 https://dsc.or.jp/News/view/dsc/370

防衛力の抜本的強化7つの重視分野 自衛隊 防衛

一般社団法人DSC

DSCとは、自衛隊の役割・活動をより知っていただくために活動している一般社団法人です。

会員を随時募集しています。

入会していただくと、様々な会員サービスがあります。

①会報誌「自衛隊応援クラブ」の配布。
②オフィシャルピンバッジの配布。
③自衛隊各部隊や米軍基地、防衛産業工場を見学等の各種行事・イベントの参加企画。
④自衛隊OB・各連携組織とのコラボによるセミナー。

ご入会に関する詳しい内容はこちら→https://dsc.or.jp/nyukai.html