2隻の「イージス・システム搭載艦」の建造計画とは?
ロシアによるウクライナ侵攻が長期化し、北朝鮮によるたび重なるミサイル発射実験が行われ、さらには中国による台湾への圧力が強まる中、8月31日に防衛省は、2023年度の防衛予算概算要求を発表した。
その内容には、2隻の「イージス・システム搭載艦」の建造計画があることがわかった。船体の大きさは海上自衛隊最大の護衛艦「いずも」型に匹敵する。ミサイル防衛だけではなく、政府が保有を検討する反撃能力に転用できる長距離ミサイルも搭載可能だという。
金額は明示されていないが、建造費は最新鋭イージス艦「まや」型を上回り、導入コストはイージス・アショアの約4000億円(試算)を超える可能性があるという。防衛省としては、設計費やエンジン取得費を要求しているのだが、構想では基準排水量は約2万トンで「いずも」型とほぼ同じ。「まや」型の2倍以上あるという。
防衛省は「船体の大型化で揺れを低減、極超音速兵器への対処やレーザー兵器の機能を追加できる拡張性を備える利点がある。」としている。
弾道ミサイル対処の迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」や巡航ミサイルを撃ち落とすSM6を搭載可能で、射程が延伸化され、政府が検討する反撃能力に転用可能な12式地対艦誘導弾も装備する計画だという。
乗組員は省人化を図り110人程度。従来のイージス艦の3分の1程度で、全個室にする予定だ。27年度末に1隻目、28年度末には2隻目を就役させる計画だ。ただしデメリットもある。大型艦は接岸できる港湾施設が制限される上、ミサイル防衛に集中するため、海自の主任務である対潜水艦戦能力が限定的になる見込みだという。
厳しい財政事情の中で、防衛予算に関する要求をどこまで政府に理解してもらえるのかが鍵になるだろう。政府への説明、それはつまり国民に理解を得るということと同義語である。この防衛概算要求を国民が注視する必要があるのは言うまでもない。
(画像は防衛省・自衛隊ホームページより)
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2023年度防衛予算の概算要求。 防衛予算 防衛省
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