頻発する北朝鮮の弾道ミサイル発射実験。回数と技術の進化を検証する。
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一般社団法人DSC
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北朝鮮、今年に入り9回目の弾道ミサイル発射実験を実施。
北朝鮮が、3月5日8時47分頃、北朝鮮西岸付近から、弾道ミサイルを、東方向に向けて発射した。最高高度約550km程度で、約300km程度飛翔し、日本の排他的経済水域(EEZ)外である北朝鮮東岸付近に落下したものと推定されている。
北朝鮮は、当該発射について、「偵察衛星」開発の重要試験を再び行ったと発表している。この点について、昨年1月の党大会において「軍事偵察衛星」の設計等に言及しており、2月27日の弾道ミサイル発射と併せて考えれば、こうした「偵察衛星」に関する何らかの試験を引き続き行った可能性もあると防衛省は考えている。
防衛大臣臨時記者会見の内容。
北朝鮮の今年に入り9回目となる弾道ミサイル発射の報告を受け、岸防衛大臣は記者会見を開き、以下のように述べた。
「北朝鮮は、今年に入ってから、巡航ミサイルの発射発表も含めて9回に及ぶ、極めて高い頻度で、かつ新たな態様での発射を繰り返しています。昨今の北朝鮮による核・ミサイル関連技術の著しい発展は、わが国及び地域の安全保障にとって看過できないだけでなく、これまでの弾道ミサイル等の度重なる発射も含め、一連の北朝鮮の行動は、わが国、地域及び国際社会の平和と安全を脅かすものであり、断じて容認できません。関連する安保理決議の違反するものであり、強く非難いたします。北朝鮮に対して、北京の「大使館」ルートを通じて抗議をいたしました。総理には、本件について直ちに報告を行い、情報収集・分析に全力を挙げ、国民に対して、迅速・的確な情報提供を行うこと、航空機、船舶等の安全確認を徹底すること、不測の事態に備え、万全の態勢をとること、この3点について指示がありました。これを受け、私からは米国等と緊密に連携しつつ、情報収集・分析に全力を挙げること、不測の事態の発生に備え、引き続き警戒監視に万全を期すことについて指示を出しました。その後、関係幹部会議を開催するなど、対応に万全を期しているところであります。防衛省としては、引き続き、関連情報の収集と分析に努め、警戒監視に万全を期してまいります。米国・韓国をはじめとして、関係国と緊密に連携しながら、国民の生命、そして平和な暮らしを断固守り抜く決意です。こうした状況を踏まえ、いわゆる敵基地攻撃能力の保有も含め、あらゆる選択肢を検討し、今後とも防衛力の抜本的な強化に取り組んでまいります。」
北朝鮮による弾道ミサイル技術と攻撃能力の向上とは?
北朝鮮の弾道ミサイル発射実験の回数とミサイルの種類に関するデータを見ると、金正日委員長時代には、合計で16回実施しており、種類もそう多くはなかった。
しかし、金正恩氏が委員長の座についた2012年以降は、今日まで94回の弾道ミサイルの発射実験を実施しており、その種類も多岐にわたるようになったのだ。それに伴い、精度や技術の向上も見られるようになっている。その内容を下記にまとめてみた。
(1)長射程化:テポドン2・派生型(06年~)、ICBM級弾道ミサイル等(17年~)射程が10,000kmを超えるものもあらわれた。
(2)飽和攻撃のために必要な正確性・運用能力の向上:過去に例のない地点から、早朝・深夜にTELを用いて複数発発射するなどを繰り返す(14年~)。一部の弾道ミサイルには、終末誘導機動弾頭を装備しているとの指摘もある(17年~)。
(3)発射形態の多様化:ロフテッド軌道と推定される発射が確認される(16年~)。
(4)秘匿性・即時性の向上、奇襲的攻撃能力の向上:SLBMの発射(16年~)。弾道ミサイルの固体燃料化推進の可能性がみとめられる(16年~)。
(5)変則的な軌道:最近の新型の短距離弾道ミサイルには、通常よりも低高度で変則的な軌道を飛翔することが可能とみられるものもあらわれている(19年~)。
以上のように、国家を防衛するにあたり、自衛隊も多様な防衛手段の技術を獲得しなければいけない局面にあるといえる。ロシアのウクライナ侵攻により、そういった技術を発揮しなければいけない場面は、そう遠くないのかもしれない、と感じている国民も少なくないのではないだろうか。
(画像は、防衛省・自衛隊ホームページより)
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北朝鮮の弾道ミサイル発射実験。 ミサイル 北朝鮮
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